社長が口を出さなくても決まる意思決定は、貴社にいくつあるでしょうか

「社長が細かい。」「何でも自分で決めてしまう。」「任せられない性格だ。」
中小企業の組織課題として、これほど頻繁に語られるものはない。
だが性格論として扱われた瞬間に、この問題は解決不能になります。
人の性格は、外から変えられないからです。

視点を移してみたい。なぜ社長は口を出すのでしょうか。
・決め方が定まっていない。
・判断の基準が言語化されていない。
・誰が責任者なのか曖昧。
・過去に一度、任せて品質が落ちた経験がある。
この4つが揃っていれば、社長が細部に踏み込むのは、経営者として正しい行動であるとも考えられます。
放置すれば損失が出るのだから、介入するほかない。
つまり細かさは原因ではなく、症状と言ってよいのではないでしょうか。

とりわけ効いているのは、4つ目です。
任せて失敗した記憶が一度でもあると、権限は静かに、誰にも宣言されないまま社長のもとへ戻っていきます。
組織図上は課長の決裁事項でありながら、実際には全件が事前相談されていく。
この状態を、権限委譲がなされていると呼ぶことはできません。
しかも戻った権限は、返した側にも受け取った側にも自覚のないまま定着していくのです。

したがって求めるべきは、社長の手放す勇気ではありません。
手放しても成立する経営システムです。
・判断基準の明文化言語化
・金額と範囲による決裁区分
・”ここまでの失敗は許容する”という上限の設定
・異常時にだけ報告が上がる仕組み
この4点が整えば、社長は細かくなくなっていかざるを得ません。
性格は変わらないまま、行動だけが変わっていく。
任せられるようになった経営者の多くは、人が変わったのではなく、
確認すべき場所が数か所に絞れただけです。

社長が細かいことを嘆く前に、社長が細かくならずに済む条件を数え上げる。
組織が自走するとは、意欲の問題ではなく、組織の設計の問題なのです。