生産性を上げよう、効率化を進めよう、と仕事でもあくせくしていませんか?
ばたばたしているなどと聞くことは本当に多いですが、何がそれほど忙しくさせて
いるのでしょうか。忙しそうな状況も年中続いているのでしょうか。
日本の労働生産性の低さは世界ではかなり低いレベルです。
OECD(経済協力開発機構)のデータによると、一人当たりの労働生産性の比較で
日本はOECD加盟国37か国中26位で、全体の平均をも下回っています。
また主要7か国内では1970年以来最下位を続けています。
また、OECD加盟国で2010年代後半の労働生産性上昇率がマイナスとなったのは、日本、ギリシャ、メキシコ、ルクセンブルクのみで、その状況が一層目立っています。
日本は世界の成長についていけていないのです。
日本は世界3位の経済大国という‘総量でのイメージ’を良い方向にとられすぎ、
ビジネスの本質である一人当たりの生みだす価値に目を向けてこなかったのでは
ないでしょうか。
日本の人口は国連人口基金が発表している「世界人口白書2020」によれば
世界では国別で11位、1億2650万人です。中々意識しにくいかもしれませんが
実は欧米主要国で日本より多いのはアメリカ合衆国だけで、ドイツは約2/3、
イギリス・フランス・イタリアは日本のほぼ半分、カナダは約1/3の人口です。
(ただし中国やインドは10億人以上の人口で突出しています。今後一人ひとりの
生産性が上がってきたらどうなるか想像できることです)
現在日本は少子高齢化社会をむかえており、世界銀行の分析では2011年から
すでに人口が減り始めているということです。
一人ひとりの生産性が低いことを人口の総量で補って経済的な影響を世界に
発信してきましたが、その前提が崩れていく起点にいると言ってよいのでは
ないでしょうか。
なぜここまで日本は生産性が低いのでしょうか。。
仕事で様々な企業にうかがいますと、「学習しない」「自分で考えない」
「自分から動かない」と感じることが非常に多く、いえ、ほぼそう感じます。
生産性という点で、個々の鍛錬と同時に意識の持ち方は大きな影響があるの
ではないでしょうか。
周りの顔色を見ながらしか動けない、ということをいう方が本当に多い。
「以和爲貴」をはき違えているのではないかと心配してしまいます。
先日伺った企業での講演で、何でもよいので自己鍛錬した方は挙手を、と
きいてみましたら、50名近くで一人も手が上がりませんでした。
ただ、こういったことは、どの企業でもどの階層でもほぼ同じことが起きます。
学校を出ていれば社会で成果を出し続ける能力が身についているとでも思って
いるのでしょうか。。
社会人の学び直しなどと言っている方々がおられますが、残念ながら学び‘直す’
前に、まず学びをはじめてください、ということを言わねばならない状況です。
研修などの教育機会を設けていたり、OJTといって現場に教育を任せていたり
して教育していると言っている教育担当の方々がおられます。これまでOJTが
主体だった企業では、自信ありげにOJTをやってますから大丈夫です、と言っ
てはばかりません。OJTというものは、コロナ禍のビジネス環境において、
つまり職場の有りようとビジネスの進め方が全くと言っていいほど変わって
いる中で、誰も答えらしきものがない中では機能していかない、ということを
ご存じなのでしょうか、と心配してしまいます。
将来を見据えて企業のビジョン=グランドデザインを描いて一人ひとりの鍛錬に
投資されている企業は本当に少ない。この状況を放置していては、さらに日本
全体の生産性は下がり、今後、世界での競争力は本当に下がっていくでしょう。
将来を見据えた日本企業の在り方として、自分の鍛錬を自分で行ない、それが
業務において成果をうみだすことができる仕組みや制度を整えることが急がれる
べきではないでしょうか。時々研修をやっています、ということでは到底スピー
ド感が足りません。
この人材への投資への取り組みによって、一人ひとりの能力が広がり、その
広がりが重なることで組織や部門が強く連携できるようになり、組織や部門の
連携によって企業全体の総合力が向上する、そのような企業が多くなることで
日本が基盤から真の競争力を創り出していけるのではないでしょうか。