貴社の若手は、この一年で何回失敗できたでしょうか

「若手が育たないんだ」という相談を頻繁に受けます。
その時に私たちは、教育研修をどのような内容にするのか、などという話をするようなことはいたしません。
その代わりに「この一年で若手が自分の判断によって何かを決めたのか、または行動してみたのか」という質問と実際の回数を尋ねています。
多くの場合、答えが返ってくることはございません。
決めた記憶がない、のではなく、決める場面が一度もなかった、というのが真相なのです。

人材が伸びるきっかけは、驚くほど限られています。
・少し難しい仕事を任されること。
・自分で判断すること。
・失敗すること。
・その失敗を誰かと一緒に振り返ること。
この4つが揃った経験は、どれほど設計の優れた研修よりも強い。
勘違いしていただきたくないのは研修が無力なのではないということです。
経験のない状態で受け取っても滞留していくだけです。
この4つが欠けたまま研修に参加しても、知識は増えるが行動は変わりません。

ところが現場では、まったく逆の力が働きます。
仕事の品質を守るため、顧客に迷惑をかけないため、上司は若手の仕事を細かく分解し、
手順を固め、確認の回数を増やしている。
安全ではあるが、判断の余地はほぼ残らない。
そして数年後、「経験が足りないから、まだ任せられない」という結論に至っていく。
任せないから経験が積まれず、経験がないから任せられない。この循環は、極めて善意によって維持されてしまっています。
誰も手を抜いていない。むしろ責任感の強い上司ほど、この循環を強固にしてしまっているのではないでしょうか。心当たりのある上司の皆様は多くおられるのではないでしょうか。

ここまで述べますとお気づきかと思います。本当に必要なのは”失敗できる仕事の設計”です。
①損害の範囲が限定されていること。
②本人が判断すること。
③結果が本人に返ること。
この3条件を満たす仕事は、どの部署にも必ず存在しています。それを見出して若手に惜しみなく渡すことが、マネジメント職の育成という仕事です。
そして渡したあとに、行動してみた後に若手から言ってくるまで、決して手を出さないことが、その業務における仕事の本質です。

育成とは、教えることではありません。
成長する仕事を設計し、その失敗の範囲を引き受けることです。
教育予算も大事ですが、まず先に、”本当の任せ方”を点検していきませんか。