2023年が始動しました。
年末年始に行動制限がないのは3年ぶりでした。社会の変化と、元に戻りつつある生活に安堵しています。
また、兎年で世の中全体がいい方向へ跳ねることへの期待もあります。
現在、我々を取り巻く環境は大変厳しいことばかりです。パンデミックからの復活・再生・新興を成し遂げなければならない本年ほど、日本全体が進化に貪欲に取り組まなければならない一年はないのではないでしょうか。
進化をもたらすのは一人ひとりの能力の蓄積と発揮に他なりません。そしてその発揮された能力を束ねて日本全体の活力としていかねばなりません。
束ねた経済規模である名目GDPは約4.9兆円(IMF統計・2021年)で、米国・中国に次ぐ世界3位です。ただし、名目GDPは人口との相関があります。そこで我々一人ひとりがどのくらい労働して生産しているかを見るには、一人あたりGDPを見ていく必要があります。
現在、日本の一人当たりのGDPは世界27位です。。総和で世界レベルだと言っても、個々ではそうではないことを認識しておかねばなりません。(ちなみに米国は日本の1.3倍、名目GDPで4位のドイツは日本の1.12倍です)
日本は人口減少の局面に入っていることは知られていると思います。
個々では低いが総和では大きかった、ということは、人口による恩恵が大きかったということですが、これからはその人口が減っていくのです。日本が労働によって生み出していく生産・価値はこのままでは減少し、グローバル化の進む世界での競争力を失っていく一方です。
一人あたりの労働生産性をもっとよく見てみます。
「労働生産性の国際比較 2022」(日本生産性本部が公表)では、日本の『時間当たり労働生産性』はOECD加盟38カ国中27位で、東欧諸国と同レベルで米国の半分以下、G7では最下位です。
また日本の『一人当たり労働生産性』はOECD加盟38カ国中29位で、 G7で最下位で、ドイツの7割以下、米国の約半分です。いずも、1970年以降で最低の順位です。
個々の力では世界と太刀打ちできないところまできてしまっているのです。
これを裏付けるように、ビジネスパーソンがどれほど自己研鑽をしているかを調べた総務省の調査(「令和3年社会生活基本調査」)があります。
結果として出てきたのは、
〇25歳以上では、勉強している人の割合は全て10%未満
〇25歳以上では、90%以上の人が全く勉強してない
〇社会人の平均学習時間は1日10分未満
〇学習している人は1日2時間以上している
ビジネスパーソンの学習量の少なさにあらためて驚いてしまいます。これでは一人ひとりが生み出す価値が下がり続けるのは当然です。これまで「262の法則」と言われていましたが、日本のビジネスパーソンの現状を直視すると「109」になっていると言わざるを得ないのではないでしょうか。
そのことを実感する機会が多くあります。研修や講演の前に事前取組みや課題、読書などを設定すると、驚くほど量が少なく、内容の質の低いものが出てきます。資料の作成そのものも出来ていない場合も多く見られます。実際に9割超の方に再度取組みをお願いしています。これはどのよう業種・どの階層でも起きています。本当に危機感を覚えます。
そして9の方々が仕事が忙しいから、と言い訳し、自分と正面から向き合わず自己都合を押し付け自分を守ろうと必死になってきます。普段からの姿勢や行動が出てきているように感じます。
そもそも仕事だけで何を学べるというのでしょうか。仕事は成果を出す場です。仕事だけで学べるという意見には同意しかねます。学校で学ぶことと社会に出てから学ぶことの意義も内容も違っていることを認識していない方がほとんどなのです。
もう総和では誤魔化しの効かないところまで日本の個々の力が落ちていることを認識して、これに立ち向かっていくことが、本年、最優先で取り組むべきことではないでしょうか。
ビジネスパーソンは誰もがもっともっと学んでいくのを当たり前のこととしていきませんか。
ビジネスパーソンの学びというのは、世の中・社会を広く深く知って、自分の視野・視座・視点を自ら鍛えることです。
仕事だけの狭い世界から抜け出して、大いに見る範囲を広げていきませんか。
自己鍛錬を続けている人は、独りよがりではなく他人の意見や考えを充分に聴いて理解・咀嚼し、物事の本質をとらえて行動を自ら起こすことができます。そしてその行動によって信頼を基盤とするつながりが生まれてくるのです。
本年2023年も真摯に社会に向き合い、関わっていくことのできる皆様と本気で真剣に学びを共にし、ビジネスを通して日本全体の力が上昇できるよう力を尽くしていきたいと考えています。ご一緒いただける方が増えていくことで相互にさらに成長していくことを願ってやみません。
本年もご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。